「犬は笑う」との相場格言通り、明るい2018年の年明けです。単に株価が上がっているだけではなく、景気指標はおおむね堅調ですし、各種の新年会では強気な発言をよく耳にします。他方で2018年は、2年目のトランプ政権から北朝鮮、中東情勢まで政治の不透明性が気になる年でもある。いわゆる「地政学リスク」は無視できません。

こんな「ひどい政治と好調な経済」の組み合わせ(マーティン・ウルフ氏)は、1年も続くとは考えにくい。果たして政治が経済を巻き込むのか、それとも経済が政治を癒すのか。そして2018年を後者に向かわせるには、どんな工夫が必要なのでしょうか。

●2018年は株価も雇用も明るい年明け

年末年始のテレビでは、大阪府立登美丘高校ダンス部の「バブリーダンス」1を何度も目撃することになった。存在自体はユーチューブで知っていたけれども、まさか「レコ大」と「紅白」の両方で見ることになろうとは。バブルの生成と崩壊の両方を知る世代としては、このダンスが面白くて仕方がない。ただし古い流行を見ているうちに、「本当にバブルが復活しているんじゃないだろうか」と思えてきた。

真面目な話、年初から株価は絶好調である。1月5日終値の東証時価総額はあっけなく700兆円台に乗せた。本誌12月8日号「2018年の日本経済を予測する」でご紹介した通り、これを名目GDP549兆円と比較するとかなり大きな数字である。ストックである時価総額を、フローである名目GDPと比較するのは変だという見方もあるのだが、それ自体は「バフェット指数」と呼ばれて世界中で普遍的に使われている手法である。

1https://www.youtube.com/watch?v=Lxr9tvYUHcg

ちなみに1月11日終値は708兆3795億円となる。バフェット指数はほぼ130%となり、日本株はそろそろ危険水域ではないかと思うのだが、「もうはまだなり。まだはもうなり」ともいう。さらにニューヨーク市場の時価総額は、ほとんど対GDP比5割増しとなっているはずなので、「日米ともにバブル」と見なすことも可能であろう。

各種新年会で耳にする挨拶も明るいものが目立つ。今週1月9日に日本生産性本部の新年互礼会に出席したところ、菅義偉官房長官の挨拶を聞く機会があった。景気の現状について、「昨年11月の有効求人倍率が1.57倍、正社員有効求人倍率は1.05倍。これは調査開始以来初の水準」とデータを細かく挙げて説明していた点が印象に残った。

真面目な話、雇用状況がいいと言うよりは、人手不足が深刻化していると言った方が良いくらいでもあるのだが、そんな中で想定外のことも起きている。それは日本国内で「働く人々」の実数が増えていることだ。

なにしろ日本は人口減尐社会なので、労働力人口(15歳以上で働く意欲を持つ人々)はそんなに増えるとは考えにくい。また農家や小規模小売業(パパ・ママストア)のように、確実に減っていくであろう職種もある。そんな中で、せめて雇用者数だけは伸ばして行く必要がある、というのが以前からの筆者の見方であった。

ところが驚くべきことに、足下の就業者数(自営業+家庭内従業者+雇用者)が、1997年の既往ピークに接近しつつある。今から20年前とは、ちょうど日本の生産年齢人口(15歳以上、65歳未満)が最大だった時代である。「団塊世代が50歳に差し掛かり、団塊ジュニア世代が20代前半だった頃」と言えば分かりやすいだろうか。

日本は今や、人口が毎年30万人程度減り続ける時代に突入している。そんな中でなぜ就業者数が増えているかといえば、「高齢者が引退を遅らせ、女性の職場進出が進み、外国人の参加が増えているから」であろう。もっとも団塊世代の先頭は既に70歳代に突入しているので、さすがに今後は引退が加速するかもしれないのだが。