メガバンクが、大規模なリストラ案を打ち出した。発表された数字を合計すると、3万人を超える規模の労働力削減が行われる。
今回は、人事コンサルタントであり、明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科の客員教授である林明文氏に取材をした。
メガバンクが、大規模なリストラ案を打ち出した。発表された数字を合計すると、3万人を超える規模の労働力削減が行われる。
今回は、人事コンサルタントであり、明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科の客員教授である林明文氏に取材をした。林さんはデトロイトトーマツコンサルティングで人事コンサルタントとなり、その後、大手再就職支援会社の社長に就任。2002年からは、人事コンサルティング会社・トランストラクチャの代表取締役を務める。著書に『経営力を鍛える人事のデータ分析30』(中央経済社)などがある。
30年以上の実績がある人事コンサルタントには、メガバンクのリストラがどのように映ったのだろうか。
Q メディアでは、「AI(人工知能)リストラ」と言われていますね。私は、違和感を覚えました。実はもっと大きな理由があるように思いますが、いかがでしょうか?
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林明文氏
AIの影響もあるとは思いますが、人事部にとってもっと根深いのは、膨張するバブル世代の人件費です。大手銀行もいよいよ、その扱いに困り、人員整理に踏み込んだとみるのが妥当でしょう。この世代をターゲットにしたリストラは10年以上前から、大企業では行われてきました。
バブル世代は、1986年から1991年にかけて大量に新規採用された世代です。すでに80年代後半には、「いずれ、この世代の扱いに困ることになる」と指摘されてきました。それが放置されたまま、ズルズルと来たのです。
本来は、バブル世代は20代の頃から人員削減をするべきでした。ところが、その時期(1990年代)は不況が長引いていましたから、新卒採用を控えることで人件費を抑え込んできたのです。2005年前後から、40代になったバブル世代のリストラが始まりました。
今回のメガバンクのリストラはその数が多いから、マスコミが一斉に報じました。実際は、バブル世代のリストラは10年以上前から静かなブームです。2020年の東京五輪以降、景気が大きく後退するでしょうから、この世代を狙ったリストラは勢いを増します。2030年までくらいは、「リストラバブル」として止まらないはずです。1991年のバブル経済不況以降、その数などは最も多いものになるでしょう。