新たな看板政策「人づくり革命」の本当の狙いは?

【新たな看板政策「人づくり革命」の本当の狙いは?】

 8月の内閣改造で安倍政権が新たな看板政策に掲げたのが「人づくり革命」だ。大学などの高等教育無償化を進めるとしているが、政権運営が行き詰まった段階で打ち出した政策が「人づくり」を目的としていないのは明らかだ。

 今まさに“高等教育にかかった費用”の返済に苦しんでいる人たちは、見捨てられたままだ。大学卒業後、正社員の職に就けず、奨学金の返済が滞り、自己破産危機に追い込まれる若者の増加が社会問題になっている。

 大学生の奨学金受給率は年々増加し、1989年度の約10%から2015年度には38.5%まで上昇。平均貸与額は343万円(有利子タイプの場合)で、仮に10年かけて返そうとしても毎月約3万円の返済が必要になる。若い世代にとっては大きな負債だ。『教育費破産』(祥伝社新書)の著者である大学通信常務取締役・安田賢治氏が指摘する。

「規制緩和により大学定員数が増え、進学率も上がった。現在、高校を卒業後、進学する人は8割にのぼる。周りが進学するから、経済的に苦しい家庭もなんとか子供を大学に行かせようとする。そうなると、奨学金に頼らざるを得なくなる」

 アベノミクスはとりわけ、「教育」における岩盤規制改革を掲げて、大学新設に力を入れてきた。あの加計学園の獣医学部新設を除いても2017年度だけで新設大学は7大学、新設学部は計81学部を数える。

「人づくり革命」が打ち出す、“これから高等教育を受ける世代”への教育援助では、奨学金破産危機の若者は救えない。だが、無償化で進学者が多くなれば“増えすぎた大学”の救済にはつながる。

 これでは、行き止まりに突き当たったアベノミクスの尻ぬぐいにしか見えない。

※週刊ポスト2017年9月22日号