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 言論NPOは、アジアの民主主義に関する世論調査をこのほど日本、インドネシア、インド、マレーシア、韓国5カ国で実施しました。調査結果では、欧米で揺れる民主主義と比べて、アジアのこれらの国では民主主義自体は信頼されているものの、民主主義が自国で機能していないと考える人や、民主主義に対する疑問が増加しています。特に選挙で選ばれる政党や国会、さらにはメディアなどの対する信頼は各国でも低いものとなっており、民主主義の在り方が問われる事態となっています。

 さらに日本では、自国の将来を日本人の半数近くが悲観的に見ており、さらに自国が直面している課題の解決を自国の政党に期待できないと考える人が6割近くとなっています。
日本やアジアの民主主義国家が直面する課題は何か、今回の調査結果から明らかにしていきます。

【各国調査課概要】

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1.自国の将来をどのように見ているか(日本、インドネシア、インド、マレーシア)
将来に悲観的な理由(日本、インドネシア、インド)

 自国の将来に対して、アジアの4カ国の中で、日本では将来に悲観的な人が多い。日本人の48%と半数近くが、自国の将来を悲観的に見ている。これに対して、インドネシアは89.2%、インドでは60.1%、マレーシアでは50.7%と、自国の将来に楽観的な人がそれぞれの国の回答で最も多くなっており、日本とは対照的な傾向を示している。日本人が将来に悲観的な理由は、「急速に進む高齢化と人口減少に対して、有効な対策が提示されていないから」が91%で、昨年の調査よりも増えた。

日本人は将来に悲観的だが、その他4カ国は自国の将来を楽観的に見ている

 日本人の48%(昨年39.8%)は、「悲観的である(「どちらかといえば」を含む、以後同様)」と回答し、「楽観的である(「どちらかといえば」を含む、以後同様)」の31.3%(昨年20.7%)を上回っている。楽観視、悲観視の双方で10ポイント前後の増加が見られるが、「悲観的」な見方の方が多い構図は昨年と同様である。

 これに対して、インドネシア人では、89.2%と9割近い人が「楽観的である」と回答し、「悲観的である」は9.2%と一割程度に過ぎなかった。

 インド人も、「楽観的である」との見方が60.1%と半数近い。ただ、昨年の75.9%からは16ポイントの減少となっている。「悲観的である」も昨年の19.5%から27.1%へと増加しており、自国の将来を不安視する見方が広がっている。

 今年から調査を始めたマレーシアでは、「楽観的である」と考える人が50.7%と半数を超え、「悲観的である」の36.9%を上回っている。

 自国の将来を悲観する理由として、日本人で最も多いのは、「急速に進む高齢化と人口減少に関して、有効な対策が提示されていないから」の91%で今年もこれが突出している。以下、「経済成長が停滞しており、今後の立て直しの道筋が見えないから」(45%、昨年51%)、「安心できる健康保険制度、社会保障制度が整ってないから」(41%、昨年42.7%)の順で続いている。

 この他、日本人では、「中国の台頭、北朝鮮の問題などで安全保障面の課題が多いから」に、日本の将来の不安を抱く人が37.9%と4割近くになっており、昨年の30.4%から7ポイント増加している。

 インド人では、「政治家は選挙とポピュリズムに傾倒し、国内及び国際的な課題に取り組んでないから」が46.7%(昨年27.4%)で最も多く、これに「社会的及び経済的政策が貧困と格差是正に機能していないから」が41.4%(昨年44.3%)で続いている。インド調査では、いくつかの選択肢で昨年からの大幅な増加が見られる。19ポイント増加した「政治家は選挙とポピュリズムに傾倒し、国内及び国際的な課題に取り組んでないから」に加え、「経済は名目上では成長しているが、その成長の果実が広く一般市民に共有されていないから」では、昨年の13.4%から37.9%へと25ポイント増加した。

【自国の将来をどう見ているか】

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【将来に悲観的な理由―日本―】

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2.政権支持率(日本、インドネシア、マレーシア)

 自国の政権支持率について、この調査時点での日本人では安倍政権の「支持」と「不支持」は約4割で拮抗している。これに対してインドネシアのジョコ政権は85.2%と9割近い支持率となっており、マレーシア人のナジブ政権は逆に「不支持」の方が52%と半数を超えている。

自国への政権支持率は、日本は拮抗、インドネシアは支持が9割、マレーシアは不支持が半数を超える

 自国の政権支持率について、日本人では、安倍晋三政権を「支持しない(「どちらかといえば」を含む、以後同様)」という回答が42.7%で、「支持する(「どちらかといえば」を含む、以後同様)」という回答の40.2%と拮抗している。
 インドネシア人では、ジョコ・ウィドド政権を支持する人が85.2%と圧倒的である。
 マレーシア人では、ナジブ・ラザク政権を「支持しない」という回答が52%と半数を超え、「支持する」の37.4%を上回っている。

【政権支持率】

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3.政党に課題解決を期待できるか(日本、インドネシア、インド、マレーシア、韓国)

 自国が直面している課題の解決を、自国の政党に期待できるか、に対しては日本では58.7%と6割近くが、政党には「期待できない」と回答しており、アジア各国と比べて政党への不信が著しく高く、「期待できる」は22.5%にすぎない。 韓国では、「期待できる」と「期待できない」が拮抗している。他のアジア各国は自国の政党に課題解決を期待できる、とする人がマレーシアは86.3%、インドネシアは71.1%、インドでは51.8%といずれも半数を大きく超えている。

自国政党への期待は、日本が最も低く、韓国は拮抗、他の3カ国は期待が上回る

 こうした自国が直面している課題の解決を政党に期待できるか、が次の設問である。日本人では政党に「期待できない(「どちらかといえば」を含む、以後同様)」という人が58.7%(昨年51.7%)と6割近く存在し、その比率は昨年よりも増加している。「期待できる(「どちらかといえば」を含む、以後同様)」は22.5%(昨年15.5%)にすぎなかった。

 なお、アジアの日本以外のほかの4カ国に対する設問は、「自国が直面している課題の解決や経済発展を、自国の政党に期待できるか」になっている。

 マレーシアでは86.3%と圧倒的多数が、政党に「期待できる」と回答している。

 インドネシアでも「期待できる」が71.1%と、「期待できない」の25%を大きく上回っている。

 ただ、インドでは「期待できる」が51.8%と半数を超えているが、昨年の85.9%からは34ポイント減少するとともに、「期待できない」が昨年の8.3%から38.4%へと30ポイント増加した。

 韓国では、政党に「期待できる」は46.9%だが、「期待できない」とこの課題解決と経済発展の「両方難しい」を合わせると46.8%となり、見方が拮抗している。

【政党に課題解決を期待できるか】

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4.自国の民主主義は機能しているか(日本、インドネシア、インド、マレーシア)・
自国の「民主主義が機能していない」と思う理由(日本、インドネシア、インド)

 日本とマレーシアでは、自国の民主主義が「機能している」と思っている人はそれぞれ4割程度で、半数に届かない。むしろ、自国で民主主義が「機能していない」がマレーシアでは56.1%と半数を超え、日本でも36.2%存在する。これに対し、インドとインドネシアでは自国の民主主義が「機能している」と判断する人はそれぞれ半数を超え、インドネシアでは69.3%、インドでは59.3%が自国の民主主義が機能していると信頼している。

 この4カ国では民主主義が「機能していない」と考える人に理由を尋ね方、その中で最も多いのは、「選挙に勝つことが自己目的となり、政党や政治が課題解決や国民に向かい合う政治をしていない」や「政治や行政の腐敗や汚職が止まらないから」などである。

日本とマレーシアでは自国の民主主義が「機能している」との回答は半数に届かない

 それでは、自国の民主主義は機能しているのか。日本とインドネシア、インド、マレーシアでその質問を聞いている。

 マレーシアでは民主主義が「機能している」(「機能している」と「どちらかといえば機能している」の合計、以後同様)とする国民は37.3%に過ぎず、これに対して「機能していない」(「機能していない」と「どちらかといえば機能していない」の合計、以後同様)が56.1%と半数を超えている。

 日本でも、自国の民主主義が「機能している」と思っている人は43.3%と4割程度しかなく、昨年(46.7%)よりも減少している。これに対して日本の民主主義が「機能していない」と見る人も36.2%と4割近く存在する。

 これに対してインドネシアとインドでは自国で民主主義が「機能している」がそれぞれの国で最も多い回答になっている。

 インドネシアでは69.3%と(昨年47.1%)7割もが自国の民主主義は機能している、と回答しており、インドでも59.3%(昨年65%)と6割近い。ただ、インドには「機能していない」と実感している人も26.9%(昨年28.6%)存在している。

【自国の民主主義は機能しているか】

 日本とインド、インドネシアでは、自国の民主主義が「機能していない」と判断している人に、その理由を尋ねている。

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民主主義が機能してない理由として各国の上位は、
「選挙に勝つことが自己目的となり、政党や政治が課題解決や国民に向かい合う政治をしていない」や「政治や行政の腐敗や汚職が止まらないから」。

 日本で最も多いのは、「選挙に勝つことが自己目的となり、政治が課題に真剣に向かい合っていないから」の46.7%(昨年60.2%)だった。これに「政党が選挙公約を守らないことが常態化し、守れなかったことについて十分に国民に説明しないなど国民に向かい合う政治が実現していないから」(39.5%、昨年45.3%)が続いている。

 それらに、日本の政治状況に考慮して今年新たに設問に加えた「政権が強い力を持ち、反対する人物や勢力に圧力をかける傾向が見られるから」が28.7%で続いている。また「野党の力が脆弱であり、与野党間が適切な競争関係にないから」も17.7%存在している。

 全体的に各選択肢で前年からの減少が見られるが、その中で唯一増加したのが、「政党自体に、課題解決の能力が十分にみられず、まじめに取り組む姿勢も欠けるから」で昨年の11.9%から17.1%へと増加している。

 これに対して、インド人では、「選挙に勝つことが自己目的となり、課題解決に取り組んでいないから」の44.4%(昨年22.6%)が最も多い。これに「政党が選挙公約を守らず、アカウンタビリティを欠いているから」の39.9%(昨年38.2%)と、「女性、宗教的・民族的マイノリティの声が政治に反映されないから」の39.4%(昨年5.1%)が続いている。また、その他の選択肢も軒並み3割以上あり、多くの人が同様の問題意識を持っていることがうかがえる。

 インドネシアでは、昨年同様に「政治・行政側の腐敗や汚職が止まらないから」が63.6%で突出している。

【国民は民主主義体制を支えるどの機関を信頼しているのか‐日本‐】

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【国民は民主主義体制を支えるどの機関を信頼しているのか‐インドネシア‐】

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【国民は民主主義体制を支えるどの機関を信頼しているのか‐インド‐】

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5.国民は民主主義体制を支えるどの組織、機関を信頼しているのか
(日本、インドネシア、インド、マレーシア、韓国)

 アジア各国の国民が国内の組織で信頼しているのは、「軍」(日本では「自衛隊」)や「警察」といった実力組織であり、選挙で選ばれる「議会」やその政治家で組織される「政党」、さらには健全な世論形成において役割を期待される「メディア」などへの信頼はどの国でもそう高くない。インドネシアでは大統領と軍と、政府と宗教組織が8割の国民の信頼を集めているが、特に「軍」や「大統領」の信頼は9割を超えている。日本では「自衛隊」や「警察」、「司法・裁判所」への信頼は半数を超えているのに対し、「政党」や「国会」への信頼は2割程度に過ぎない。韓国でも調査期間が大統領選直後ということから、「大統領」への信頼は高くなったが、基本構造は日本と同じである。

アジア各国で「軍」や「警察」に信頼が高い一方、
「議会」「政党」「メディア」への信頼は高くない

 それぞれの民主主義の体制下において、それぞれの役割を果たす様々な機関や組織などが存在する。国民はその中でどのような機関、組織を信頼しているのかを聞いた。

 日本人が最も「信頼している(「とても」と「ある程度」の合計、以後同様)」機関は、「自衛隊」で74.5%の人が信頼を寄せている。これに次いで信頼度が高い機関は、「司法・裁判所」(66.4%)、「警察」(62.7%)だった。「企業」に対する信頼も48.8%と半数近い。

 逆に、日本人が最も「信頼していない(「全く」と「あまり」の合計、以後同様)」機関、組織は「宗教団体・組織」で68.9%の人がこれを「信頼していない」と回答し、「信頼している」は9.1%と1割に満たない。他に「信頼していない」という回答が5割を超えたのは、「政党」(64.1%)、「国会」(60.6%)、「首相」(51%)、「メディア」(50.5%)だった。

 NGOに関しては「信頼している」が34.9%、「信頼していない」が31.6%、「わからない」が33.5%と意見が分かれている。

 インドネシアでは、設問に掲げた全ての組織を6割以上の国民が信頼しているが、その中でも軍と大統領に対する信頼はそれぞれ93.9%、90.8%と9割を超えている。このほか、宗教組織が84.3%、政府が83.5%で続いている。メディアは64.6%、政党は58.7%と相対的に少ない。

 インド人が最も「信頼している」のは、「軍」で71.4%の人が信頼を寄せている。ただ、インド人では各機関に対する信頼度は総じて高く、全ての機関で6割を超え、最も低い「主要メディア」でも61%である。

 マレーシア人が最も「信頼している」機関も「軍」で64.9%の人が信頼を寄せている。また、「公共サービス」に対する信頼も高く、61.5%が「信頼している」と回答している。
逆に、最も信頼度が低いのは「新聞」で60.1%が「信頼していない」と回答している。さらに、「テレビ」に対しても、56.7%の人が「信頼していない」と答えるなど、マレーシア人のメディアに対する信頼度は低い。また「政党」に対する信頼度も低く、58%の人が「信頼できない」と回答している。

 韓国人が最も「信頼している」機関は、「大統領」で84.7%と圧倒的多数の人が信頼を寄せている。これは調査期間が大統領選の直後ということも反映している。その他に「信頼している」が半数を超えているのは、「軍」と「警察」の54.9%である。対照的に、最も「信頼していない」機関は、「議会」であり、83.7%が「信頼していない」と回答している。また、「政党」に対しても82.4%が「信頼していない」と考えている。「メディア」や「NGO・NPO」、「民間企業」に対する信頼も低く、「メディア」は68%、「NGO・NPO」は61.4%、「民間企業」は58.6%の人がそれぞれ「信頼していない」と答えている。

【国民は民主主義体制を支えるどの機関を信頼しているのか‐日本‐】

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【国民は民主主義体制を支えるどの機関を信頼しているのか‐インドネシア‐】

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【国民は民主主義体制を支えるどの機関を信頼しているのか‐インド‐】

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【国民は民主主義体制を支えるどの機関を信頼しているのか‐マレーシア‐】

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【国民は民主主義体制を支えるどの機関を信頼しているのか‐韓国‐】

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