■親と「古墳に大コーフン!」できる子は伸びる

そして2冊目は、大塚初重監修『東京の古墳を歩く<ヴィジュアル版>』(祥伝社新書)である。

大塚初重監『東京の古墳を歩く<ヴィジュアル版>』(祥伝社新書)

「古墳」というと、近畿地方に集中的に存在しているというイメージを持つ人がいるかもしれない。意外なことに東京にも数多くの古墳があるのだ。歴史好きな子であれば、ぜひ東京の古墳巡りをすすめたい。本書はそのうってつけのガイドブックとなるだろう。

「東京に古墳? どこまで郊外に行けば見られるのだろう?」

そんなことばが聞かれそうだが、都心にも多く存在する。たとえば、東京タワーの近く、増上寺に隣接する芝公園内に「芝丸山古墳」がある(ここは縄文時代の貝塚も見られる)。この古墳は全長125mの大型前方後円墳であり、見ごたえも十分ある。

古墳は都内のあちこちにある。港区や品川区といった都心だけでなく、足立区や葛飾区といった下町、そして、多摩川中流域(日野市・あきる野市・狛江市・調布市など)や多摩川下流域(大田区・世田谷区など)にも分布している。

わたしのおすすめは、田園調布古墳群から野毛古墳群にかけてのルート散策だ。

東急東横線・東急多摩川線「多摩川駅」から歩いてすぐのところに「多摩川台公園」がある。この公園には前方後円墳の亀甲山古墳、宝莱山古墳をはじめ、実に10基もの古墳が存在する。さらに、園内には「多摩川台公園古墳展示室」があり、出土品なども見学できる。

この公園を北に抜け、しばらく散歩をすれば、野毛古墳群に行きつく。玉川野毛町公園内には帆立貝式古墳である野毛大塚古墳があり、墳丘が復元されている。目の前を走っている環状8号線を渡れば、そこは等々力渓谷。ここでは横穴式の石室などを見ることができる。

子どもと散策するにはうってつけだ。

■自由研究のレベルは親のレベルを反映する

「東京湾」と「古墳」。いかがだろうか。もちろん、これらはほんの一例である。ほかにも、身近な場所に目を向ければ、自由研究のネタは存外に多くあるはずだ。

さて、本文を締めくくる前に、子どもにとって体験型の自由研究の重要性を改めて説明したい。親が考えなければいけないのは、子が「期限に間に合うよう、自由研究を終わらせる」ことではなく、子が「自由研究を通じて、自らが探求心を醸成していく」ように導くことだ。

そのためには、子が実際に研究対象をじかに見て、じかに触れる「体験型」であったほうがよい。塾講師として長年子どもたちの自由研究のテーマを“リサーチ”しているが、いわゆる「できる子」の自由研究に共通するのは、完成したリポートが「自分のことばでしっかり説明されている」という点である。オリジナリティーと換言してもよい。

これまでに「へえ、面白いなあ」と感心させられたもの。

たとえば、「シャボン玉の膜を長持ちさせるには、どうしたらいいか」を数々の実験を通してリポートする子がいた。あるいは、同じ場所・同じ時間で空に浮かぶ雲を撮影しては、日ごとにその移り変わりを詳細にリポートしている子もいた。

「自由研究を楽しめる子&頭のいい子」の親は優れている

いずれもオリジナリティーあふれる着眼点があり、読み応えも十分だった。自分の興味対象にとことんのめりこんでいるのだろう。まとめ方はやや稚拙でも、とにかく「楽しくてたまらない」様子が手に取るようにわかる。つまり、躍動感のある自由研究になっているのだ。そうなると、大人もつい身を乗り出して読み込んでしまう。彼らの共通点が、学力がかなり高い子だということも理解できるだろう。

少なくとも自由研究のネタ本やネット情報をそのまま「コピペ」したような代物より、ずっと血が通っている。自由研究の教材にはよく考えられたものもある。だが、そうした「自由研究キット」は、結論ありきで作られている場合が多い。その結論に子を誘導するような内容になっている。そうすると、オリジナリティーを感じられない自由研究となってしまうのだ。

あまり大きな声では言えないが、自由研究の出来不出来は、その子どもの親の“レベル”を反映しているかもしれない。「付け焼き刃」で自由研究の教材を買い与えて、適当にやらせてしまうか。もしくは、一緒に潮干狩りや古墳巡りをして、研究のヒントを与えているか。

進学塾に通う子が小学6年生なら中学受験は半年後。その入試結果で笑うことのできる親子はどちらのタイプか。それは言わずもがなである。

(中学受験専門塾スタジオキャンパス代表 矢野 耕平)