大物釣りというと難しいイメージをもつ人もいるかもしれない。しかし、怪魚釣りは言ってみれば「大味」だ。巨大な魚は常にエサを食べていないと体を維持できないので、エサとなるものが目の前に来たら、とりあえずなんでも食う。そのため、魚のいるところにエサを落とすことができれば釣れる。表向きのインパクトは強烈らしいが、釣りそのものは特にすごいことをやっているわけではないというのが、怪魚釣りの面白いところだ。怪魚について本を出したりすると、スゴ腕の釣り人だと勘違いされることがある。「得しているな」と感じる一方で、それとは別の気恥ずかしさがある。

 よく「どうしたら怪魚を釣れますか」と聞かれるのだが、極論的に答えるのなら、「二週間以上の休みをとれる会社に勤めましょう」ということになる。でなければ、「学生時代に行っておきましょう」という答えとなる。これは相手によって変わるので即答し難い問いなのだ。どこまで本気かによって、返答は大きく変わってくる。「年に何回も海外に行けていいね。こっちは仕事と家庭があるんだ」なんて皮肉を言われることもあるが、そういう人には「退社して離婚すればいいのでは?」と答えるしかない。

 結局、人は何かを選ばなくてはならない、ということなんでしょうね。
 この「時間をつくる」というのは、人によっては、最も高いハードルにもなりえます。
 この本に載っている「怪魚」たちの写真をみると、正直、僕などは怖くて逃げ出してしまいそうなんですけど。

 タイには、あの水族館にいるピラルクーの「釣り堀」があって、人気になっているそうです。
 そうか、釣るだけなら、けっこう手軽に(?)できるところもあるのだな。
 著者は、「釣り堀で釣るのはちょっとねえ……」と仰っていますが。

 著者は『情熱大陸』にも出演されているのですが、その内容について、こう述べています。

 番組では、こちらの意向とは関係なく、ナマズ博士にされ、ひと言も触れていない食糧問題と結びつけられてしまった。ただナマズが好きで釣っているだけだった僕は、勝手な解釈で自分の活動に社会性を付加されたことに納得できなかった。当時はずいぶん憤慨したが、この番組が縁で、いろいろな人とのつながりが増えたのは事実である、今ではとても感謝している。

 そうか、『情熱大陸』って、番組側が考えたストーリーラインに、出演者を勝手に乗せてしまう、という演出もあるのだなあ……もちろん、「相手にもよる」のでしょうけど。
 ただ、「名刺代わり」として、それなりの効果もあるので、なかなか文句も言いにくいところはありそうです。

 具体的な「怪魚釣りのレポート」は、小塚さんや武石憲貴さんの他の著書のほうが「面白い」と思います。
 やっぱり、「怪魚」には、カラー写真が欲しい。
 でも、「後先考えない、冒険野郎」だと思い込んでいた「怪魚ハンター」が、こんな理知的な人だったというのは、けっこう意外でした。
 小塚さん、高校時代は、近くの大学の医学部に進学して、医者になるつもりだったらしいですよ。
 僕にも「怪魚ハンター」になれる可能性が、あったのかなあ……


怪魚ハンター (ヤマケイ文庫)

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ヤマケイ文庫 怪魚ハンター

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