実は岡山よりも危険な富山県

岡山の用水路の話ばかりをお伝えしてきましたが、調べてみると用水路の転落事故に頭を悩ませているのは岡山県だけではありませんでした。富山県でも岡山県と同じような悩みを抱えています。

岡山県の場合は、用水路への転落事故で全国ワースト1位(2015年)でしたが、富山県の場合、用水路に落ちて溺死する人の数が全国ワースト1位(同年)です。

岡山県は12人でしたが、富山県の場合は毎年20人前後ということですから、岡山県よりも富山県の方が危険といえます。

調べてみると富山県にはサイズの大小関係なく300ほどの河川があり、川から流れる水は農業や工業用に利用されてきたそうです。特に農業用水は県内に網目状に張り巡らされた用水路を流れています。

こうした農業用水が使われるのは農業だけではなく、生活用水や防火用水にも利用され大げさではなく人々が生きていくために必要なものになっています。

岡山県と富山県、どちらも地域が成り立つために用水路が欠かせなかったわけですが、この2つの地域の用水路では、その大きさに違いがあります

岡山県は幅2.1メートル、長さ3.2メートルと幅広で長い用水路ですが、富山県の用水路は幅60cm、水深15cmと小さいものばかり。水深15cmだと大人の足首ほどの深さですね。

これだけ浅い用水路にも関わらず、溺れて亡くなる方が2015年は68人もいたというのは驚きです。調べてみると亡くなった方のほとんどが65歳以上の高齢者でした。高齢者の方は、なぜ足首ほどの深さの用水路で溺れてしまうのでしょうか。

一説には、高齢者がつまずいて転倒した場合、手をつくことができずそのまま用水路の底に頭部をぶつけ意識を失い、用水路の水中で溺死してしまうと言われています。

さらに用水路の狭さがポイントです。幅が狭い用水路に人が倒れてしまうと水流をせき止めてしまうことになります。そうなると、水位はドンドン増して口元を用水路の水が覆い溺れてしまうというわけです。

柵を設けたり、蓋をすればいいという話になりますが、富山県も岡山市と似たような問題を抱えています。

規模の小さい用水路の場合、農地を維持するために、周辺の農家がお金を出し合って運営する土地改良区という団体によって運営されています。。この団体によれば、富山県南砺市の本江地区には480ヶ所の用水路があるそうです。

これだけ数があると整備することが精一杯で柵や蓋をするのに人を回したり予算を付けることが難しいといいます。それだけではありません。蓋をするには、土地改良区に関わる農家全員の合意が必要だと言います。

予算もかかることですから当然反対する人もいるでしょう。そうなると全員の合意を取り付けることは難しくなり、柵や蓋を整備することはできなくなります。

岡山にしろ、富山にしろ、なかなか安全対策が進みませんが明るい話題もあります。それは岡山市が平成28年度当初予算案で用水路対策費に約2億4000万円を計上したこと。今後、市内61ヶ所で転落防止の柵を設置する予定だそうです。

少しずつですが安全対策が進む用水路。この流れが今後も加速するといいですね。