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日本の中期防衛計画、最大の敵は財政上の制約か
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-7902_1.php

<防衛能力の目標を達成するためにはGDPの2%に増やしてもまだ足りない>

>自民党の安全保障調査会(会長・今津寛元防衛庁副長官)は6月、次期中期防衛力整備計画(中期防、19〜23年度)に向けた提言の中間報告を決定した。最終報告は18年春までにまとめる予定だ。

中間報告の主な注目点は2つある。まず、3月に自民党が政府に提言した「敵基地反撃能力」の保有に関する検討開始を改めて求めたこと。NATO諸国が防衛支出の目安をGDPの2%としている例を「参考に」、防衛予算の適切な水準を決めるべきだとも提言している。その他の優先課題として、早期警戒衛星の独自開発、自衛隊のサイバー攻撃能力にも触れている。

13年6月に出した提言は、現行の防衛大綱と中期防(13年12月決定)だけでなく、安倍政権の国家安全保障政策の方向性にも大きな影響を与えた。
>13年の提言は国家安全保障会議の設立、安全保障基本法の制定、防衛政策の基礎となる「国防の基本方針」に代わる「国家安全保障戦略」の策定など、安全保障政策に焦点を当てたもので、多くは既に実現している。垂直離着陸機オスプレイや強襲上陸用車両(AAV)の導入など、装備面の提言の多くは現行の中期防に組み入れられた。

>6月の中間報告は、具体的な参考例としてNATO諸国のGDP比2%という数字に触れた点で、過去の提言とは明らかに違う。だが日本の厳しい財政状況で、防衛費の大幅な予算増をどうやって実現するかは不透明なままだ。既に導入または導入を予定しているF35Aステルス戦闘機、無人偵察機グローバル・ホーク、オスプレイ、AAVなどの装備を考えれば、たとえ防衛費がGDPの2%に増えてもまだ足りないかもしれ

こういう動きに対して著者は以下のように述べています。

>今の日本に「欲しいものリスト」を膨らませ続ける余裕はない。防衛能力の目標達成を図る上で、新たな装備調達と既存の装備の近代化・更新のどちらの方が費用対効果が高いのか、真剣な議論が求められている。目標を達成できていない研究開発プログラムがあれば、中止の検討も必要になる。
>日本の防衛計画に予算の制約がある以上、競合する装備調達計画の間で「ゼロサム」方式の意思決定、つまり総量規制に基づく計画の取捨選択を迫られることは避けられそうにない。
>中間報告をまとめた議員たちは「欲しいものリスト」に新たな装備を追加するよりも、将来の防衛計画のために困難な、だが必要な議論を始めたほうが賢明かもしれない。

 率直に申しあげて、自民党のセンセイ方の見識は2ちゃんねるあたりに巣くっている程度の低い軍オタ程度であることが国防上最大の弱点です。問題は当事者にその自覚がないことです。

 第一に自衛隊と軍隊の違いを知らない。自衛隊=軍隊と思い込んで景気のいいことをいっているわけです。ところが、自衛隊には軍隊にはない法的な規制が多々あり、これらがあるために軍隊と同様の行動はとれません。ところがそれができる前提でセンセイ方は議論されている。これは砂上の楼閣であります。

 そもそも軍隊と同じ活動ができるならば、憲法改正なんぞ必要ないでしょう。ところがその反面、現状では不味い、だから憲法を変えるのだと仰ります。
 これは完全な自己矛盾です。そして憲法を変えれば、すべてが魔法のように上手くいくという幻想すらお持ちです。それって、社民党やら共産党の平和主義と同じぐらい蒙昧で、いわゆる「お花畑」なのですが、当人たちには自覚がなく、自分たちは現実主義者であると思い込んでいるから病が深いわけです。

 小泉内閣ではこのような自衛隊を縛る法的な問題の解消に取り組み、いわゆる有事法、国民保護法が制定されました。これは栗栖統幕長の超法規発言以来、初めての取り組みでした
 この法改正で多くが変わりましたが、依然自衛隊を縛る法的な規制は少なくありません。ですが小泉内閣以降、民主党政権、二回の安倍内閣においても、それ以上の法改正がなされていません。

 例えば有事法によって、それまで使用ができなった野戦病院が戦時に使用できるようになりました。それまで演習でしか使用できず、有事に使用すればモグリの病院となり、不法行為を行うことになったわけです。
 戦時に持っている野戦病院が使用できない、このようなブラックジョーク的な問題が一つ改正されたわけです。ですが未だに個々の隊員がモルヒネなどの痛み止めやらを携行できず、衛生兵は医官の指示がなければ投薬、注射でもできません。
 多くの医師法やら薬事法の制限があって、自衛隊のメデックは軍隊の戦傷医療としてはお子様レベル、お医者さんごっこレベルです。途上国から見ても遙かに劣ったレベルです。

 つまり自衛隊では戦時に戦傷で隊員が死傷をすることを前提としていません。
 その前提で開発、調達される装備が果たして実戦的であるはずがありません。少なくもともそのような前提で調達された装備の実効性を議員は疑うべきですが、多くの議員がそれをしません。
 ぼくはこのことを繰り返して述べてきました。

 ですが、センセイ方の多くはこのような現実を知りません。自衛隊は軍隊と同じレベルで活動できると思い込んでいるわけです。
 ですが、実戦で被害が出た場合、自衛隊は多国の軍隊の何倍も損害をだし、負傷した隊員は苦しみにのたうち回りながら、死んだり手足を失うことになります。
 この状態で駆けつけ警護を命じるのは、まるで無責任にインパール作戦を命じた大本営みたいなものです。

 このような異常な自体を与党は長年にわたって放置してきました。はっきり申し上げて無責任です。

 そして、アメリカ様の新しい兵器やら国産の新しい兵器を入れれば国防が強化されると思い込んでいます。これまたそこらの軍オタレベルです。
 それは「予算」とか「貨幣経済」という概念がない「土人」だから言われても仕方ないでしょう。

 防衛予算には上限があります。ですから同じ予算レベルでより高度で高価な装備、あるいはそれまで存在しなかったネットワーク化などを導入すれば予算が足りなくなります。

 多国では部隊や人員を削減して対応してきます。これは先進国だけではなく,毎年予算を大きく増やしている人民解放軍でもやっていることです。
 ところが国家防衛よりも組織防衛を第一に考える自衛隊では部隊縮小することを殆どしませんでした。人員削減にしても今世紀に入ってやったことは、部隊の定数を削り、また「契約社員」である任期制自衛官を危険な暗い減らしていることです。 このため部隊は10倍に薄めたカルピス状態で実戦能力はかなり低くなっております。

 しかも人件費の高い「正社員」たる曹以上将官に至る人員は逆に増えています。
 更に申せば、いったん「正社員」になれば定年まで身分が保障されています。このため平均年齢が高くなっており、人件費も圧迫されています。
 対して将校の予備役は殆どおらず、パイロットの予備役などはほぼゼロです。