同紙は、「いずも」とともにシンガポールを来訪した伍賀祥裕(ごか・よしひろ)海将補(第1護衛隊群司令)が、現地でメディアに向けて「私は25年のキャリアを通じて、海は全ての者が自由に利用できなければならない場所だと、痛切に感じている」と語ったと報じている。南シナ海では、中国が人工島建設などを通じて軍事的プレゼンスを高める動きを示しており、これに対抗して米艦艇が南シナ海を通過する「航行の自由作戦」を展開している。今回の「いずも」のシンガポール来航の目的は、表向きにはあくまでシンガポール海軍50周年の観艦式への参加だとされている。しかし、南シナ海を通過して来ただけに、日本版の「航行の自由作戦」だったという見方も強いようだ。

◆新安保関連法を適用した初の作戦行動
 英フィナンシャル・タイムズ紙と外交誌ディプロマットは、新たな安全保障関連法に基づく初の自衛艦の海外派遣・米艦艇護衛任務である点に着目している。FTは、「日本政府が新たに主張する集団的自衛権の中で、米艦艇を護衛するという権利を初めて適用したケースとなった」と書く。そして、今回の「いずも」の行動は「北朝鮮との緊張関係が、いかに日本を積極的な安全保障政策にシフトさせたかという事実を示している」としている。さらに、「日本政府内では北朝鮮のミサイル基地への先制攻撃の可否も議論されている」といった動きも強調している。

 ディプロマットは、改訂された「日米防衛協力のための指針」に基づき、海上自衛隊は平時でも以下の条件下で米艦艇を守ることができると紹介している。

・作戦が進行中の戦闘地域の外で行われること
・守られる米軍の資産が、日本の防衛に寄与していること
・米軍が日本に艦艇か航空機の防衛を具体的に要請すること
・日本の防衛大臣が作戦を承認すること(議会承認の必要はない)

 同誌は、今回の「いずも」の作戦行動はこれを具体的に適用した初のケースで、「4月末に出された稲田朋美防衛大臣の命令により、『いずも』は米海軍補給艦を房総半島沖から四国まで護衛した」と説明している。