そこから半年間、3チームに分かれて課題を検討した。発表2か月前の今年3月からは、各チームの研究成果を持ち寄り、1つの成果物に仕上げていったという。

「経済や法律の知識を持つメンバーは多い反面、社会学や歴史学、文化人類学などに詳しい人間は少なく、社会を捉えるためにはこの分野を勉強し直す必要がありました。一人30冊程度文献を購入して回し読みをするなど、勉強にはかなり力を費やしました」

と、検討の様子を振り返る。週1回1~2時間、チームで議論を重ねた。さらに、事務次官室で全員参加の議論も行い、東大教授との勉強会も2か月に一度開催した。かけた時間は膨大だ。須賀さん自身も「プロジェクトに割いたリソースはどのくらいだったか検証しようとしたんですが、あまりに多すぎてまだ算出できていません」と笑う。

「資料の公表はスタート。バズって終わりにしたくない」

経産省の代表電話にも感想や激励が寄せられるなど反響は大きい。須賀さんは「目立たない場所にひっそり掲載されているので、このままスルーされる可能性もあったのに、注目が集まって嬉しいです。かなりの熱量をかけて取り組んだので一同喜んでいます」と語る。

一方で、「バズって終わりにしたくない」のもメンバーの本音だ。

「今回の資料は小石のようなもの。これをきっかけに、批判でもいいから、居酒屋やテレビの討論番組で議論が波紋のように広がっていったら」

と、話題にのぼったことはスタートであり、ゴールではない。

「資料の課題は、誰しもなんとなく要所要所で思っていたことです。でも、言ったら非難されるのでは、とか、そんなことを考えている自分はマイノリティーなのではと、表に出すのを躊躇う人も多かったはずです。今回、役所の公的な資料として掲載したことで、そういった人たちに『議論していいんだ』と思って貰えたのではないかと思います。そして最終的には、社会的な合意の元で『シルバー民主主義』を民主的に乗り越えたいです」