消費者庁が15年に実施した「消費者意識基本調査」では、店頭で購入した商品や通信販売で注文した商品を、宅配で受け取る際、最速のタイミングで受け取る場合の追加料金について質問したところ、「追加料金が掛かるなら最速でなくてもよい」との回答が60.8%を占めました。「品目や状況によって使い分けたい」が32.8%、「追加料金がかかっても確実に最速のタイミングで受け取りたい」はわずか5.4%でした。この結果を踏まえれば、消費者にコストを意識させれば、もっとゆっくりとしたサービスを普及させることができそうです。

宅配便は、すべてを合算した価格設定になっています。そのため、翌日配達など最速での配達が必要な人も不要な人も、同じ料金を払わされています。そこで、最速での配達を別料金(分離価格)にすれば、サービスの対価が明確になり、消費者はサービスの要不要を判断して利用できるようになり、世の中が本当に求めているサービスに近づくのではないでしょうか。

特に、配達全体の20%を占めるといわれる再配達が、社会的なコスト負担を強いる大きな要因になっています。不在の場合は、基本的に最寄りの営業所まで受け取りに来てもらうようにして、再配達は別料金にしてもよいのではないかと思います。

別料金にすると、サービスの改悪と感じるかもしれませんが、海外ではそれが当たり前の場合もあります。米国の物流企業のUPSでは、再配達のコストを消費者に負担してもらっています。また、中国では在宅率が低いためか、通販で購入した商品は職場に届けられます。日本の宅配業者も中国ではこの方法を採っています。

■なぜ「サービスはタダ」という認識になるのか

日本のサービスが過剰になりやすい理由の1つは、「サービスはタダ」という認識が根強くあることです。欧米では、サービスは人によって異なるため、個別にチップを払う文化があります。それに対して日本では、ホテルやレストランが典型的ですが、常に高品質のサービスを提供する前提で成り立っているため、サービスは包括的で一律の価格設定になっています。