◆北のサプライチェーンはウイルスだらけ?


 破壊工作の具体的な方法として、米シンクタンク、ニューアメリカのフェロー、ピーター・シンガー氏によれば、まずサプライチェーンを狙って、北朝鮮が使っている部品やシステムに欠陥を埋め込むやり方があるという。他の方法としては、システムを破壊したり、装置を妨害したりする偽の情報を伝えるマルウェアを使う方法も紹介されている(CNN)。

 テレグラフ紙によれば、国際制裁により輸入ができない状況だが、北朝鮮はミサイルの内部コントロールのための高性能な電子装置を海外に頼っている。軍事アナリストのランス・ガトリング氏は、北朝鮮のサプライチェーンの部品は意図的に欠陥品だったり、ウイルスに感染させられていたりする可能性もあるとしている。

◆効果には疑問も。米朝サイバー戦となるか?


「left-of-launch」戦略には莫大な金額が投入されているが、NYTによれば、期待されるほどの効果があるのかという疑問も出ている。クリントン政権で国防長官を務めたウィリアム・J・ペリー氏は、長距離弾道ミサイルの開発を止めるのには非常に有効だと述べている。しかし、度重なるミサイル発射実験の失敗によって、金正恩氏はアメリカの関与を疑い、内部のスパイ探しも始めたと報じられており、北朝鮮のサイバー攻撃に対する防衛力が増していることも事実だという。

 北朝鮮ウォッチャーとして知られるマーティン・ウィリアムス氏は、北朝鮮の科学者たちが、コミュニケーション・システムをハッカーから守る、量子暗号デバイスを開発したと報告している(NYT)。これにより海外の諜報機関がリアルタイムで北朝鮮のシステムを監視して影響を与えることができなくなる可能性もある、と同氏は述べている。今後の米朝の対決は、サイバーの世界でもさらに激しくなりそうだ。

(山川真智子)