否が応でも目を引くし、日本の伝統文化を発信する文化・交流施設として「観世能楽堂」が地下に設置されたことなどがそれだ。アートを中心とした情報・文化発信機能が都市の魅力につながることを理解し、実践してきた森ビルならではの提案だ。また、非常用発電設備や帰宅困難者3,000名の受け入れに備えた防災備蓄倉庫の整備などにも六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズで磨いた森ビルの防災ノウハウが活きている。

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■求められる情報発信機能

三越伊勢丹ホールディングスの苦境などを見るにつけ、確かに従来の百貨店モデルの限界は明白だ。だからこその「脱百貨店モデル」だろうが、大艦巨砲主義でどうにかなるものでもあるまい。「GINZA SIX」施設内には都内最大級の1フロア貸室面積(約6,140㎡)を有する大規模オフィスが入る。不動産業に重点を置いたビジネスモデルと言え、確かに収益性は改善するだろう。しかし、入居した各テナントの売り上げが伸びることが大前提であることには変わりはない。

通りを隔てて反対側にはユニクロやGU、新橋寄りには家電以外に時計やジュエリーなども扱う、ラオックス銀座本店もある。もはや銀座はかつての銀座ではなくなっている。“ラグジュアリー”だけで客を引きつけるのは年々難しくなっている。訪日外国人旅行客の数は増え続けているが、一人当たり消費客単価は下がっており、売り上げ確保は簡単ではない。

だからこそ六本木地区で気を吐く森ビルは、芸術・文化などを核に情報発信機能を長年かけて磨いてきた。多くの若者や家族連れが多数詰めかける「六本木アートナイト」などはその最たるものであろう。人を集めるには「モノ」だけでは不十分で、「コト」消費が重要なのだ。まるで引き寄せられるように人々が集い、楽しみ、消費する。そうした街作りが今求められているのだが、銀座地区に欠けているのはそのために鍵となる“情報発信機能”である。

具体的に見ると、デパートが集中する銀座中央通り沿いと、有楽町マリオンや有楽町イトシア、東急プラザ銀座などがあるJR東日本有楽町駅・数寄屋橋交差点周辺は連携しているとはいいがたい。