担任に相談、宿題作文でもいじめを訴えるが、無視される...

中学に入ってもいじめが起きた。16年12月ごろ、何かおかしいと思った里美さんは、比較的話すことができるクラスの友人に聞いてみた。すると「俺はしていないけど、“里美さん鬼ごっこ"をしている」と友人は話した。担任が調査したところ、「菌鬼ごっこ」をしていることが判明した。

それ以前に、実は里美さんはいじめについて、夏休み前に国語の授業中、作文に書いていた。しかし、国語の担当教諭は、小学校のいじめについて書かれているものと、認識したという。たしかに、作文には小学校時代のいじめについても書かれている。しかし、以下のように、作文の4枚目で中学に入ってからのいじめについても書いているのだ。

中学生になった私は一人になりました。私もがんばって友達をつくりました。  「佐藤はいじめられていた」 とうわさがながれています。まだいじめはつづいています。

評価は「B」。評価しているということは、担当教諭は作文を読んでいるはず。それでも、小学校のいじめの報告と感じるということは、途中までしか読んでいないことになる。その後、作文は読まなかったと話すなど、担当教諭の言い分が変わっていく。

「全部読んで小学校時代のいじめと思ったのなら、国語の教諭として読解力がない。最初だけ読んだというのなら、現在の心境を知りたくなるはず。そうしないのは教員としてのセンスがない」(幸治さん)

学校では、一年生全員にいじめのアンケートを実施した。内容は、1)菌鬼ごっこをしたり、いじめをした心当たりはあるか。2)いじめを見たり聞いたりしたことはあるか、3)今回のことをどう思うかーだった。この結果、1)は11人(1人は欠席)、2)は26人だった。その後、校長と担任は里美さんと話をするため自宅を訪れた。

校長「まったく気づいてあげられず、ごめんね」
里美さん「口で言われても本当に対応してくれるまでは信用できません」
担任「今まで相談を受けていたのに信じてあげられなくてごめんね」
里美さん「何度相談しても『気のせいじゃない?勘違いじゃないの?』と信じてもらえず、ショックでした」

いじめを訴えてもきちんとした指導もなかったことで、里美さんは一時、教員を信じられなくなっていた。

先生は反省文を書かせながらユーチューブを見ていた?

その後、アンケート内容の裏どりができたとの報告に校長と担任が自宅を訪れた。「菌鬼ごっこ」をしたとされた11人中、2人は「菌鬼ごっこ」と知らなかった。残りの9人中、2人は里美さんと面識がない。あとの7人中2人は、里美さんと話したことがない、ということもわかった。なかには以前、「菌鬼ごっこ」をされていた人もいた。

「(加害生徒には)何で「菌」とあだなをつけたのか一人ひとりに聞きたい。いじめられたことで性格は変わってないけど、人とのコミュニケーションをしなくなった。ただ、授業には行きにくいが、LINEをくれる友達がいるので、部活には行きたい」(里美さん)

学校では11人に対して、教室内で反省文を書かせたという。書き終わった生徒が先生に見せに行くと、先生はユーチューブを見ていた。学校は、「授業に使う資料を検索していた」と説明したが、のちに。「反省文の書き方を検索していた」と説明が変わっていった。このように学校側の対応が真剣には見えない。

これまでの学校のいじめへの対応について、里美さんはこう話す。

「最終的には、(作文を見逃した国語の)先生は許した。先生の上には校長とか、教育委員会とかいるのはわかっている。学力保障のために家に来て、最初に謝ってくれたとき、声が震えていた。校長先生にいろいろ言わされていたんだなと思った」

嫌なことを整理するために書いた日記。消化できると、里美さんはその部分を捨てる(撮影:渋井哲也)

里美さんはこれまでに3回ほど「楽になりたい。こんな辛い思いをしてなんで生きなければいけないの?」と思ったことがある。郁美さんは気持ちを受けとめた上で、「生きるとしても、死ぬとしても、お母さんはともに歩くよ。でも、一人では絶対死なないで。それでも、死にたいなら、一番最初にお母さんに言って」などと泣きながら話した。

「負の連鎖はさせてはいけない。影で泣いていても、大人が明るくしてないといけない」(郁美さん)

ようやく第三者調査委員会が設置された。4月19日には第一回の会合が開かれている。