金融危機懸念が高まった2015~16年にかけて軒並みマイナスに陥ったが、大規模な財政出動によるインフラ投資と金融緩和に支えられた不動産投資が経済活動を大きく押し上げているのである。その健全性、持続性に疑問はあるものの、ここ1~2年失速の心配はないだろう。

Brexit以降、ポピュリストの台頭が顕著でEUやユーロの持続性に懸念が出てきたユーロ圏でも、各国の消費・雇用は着実に拡大し、GDP見通しは上方修正される局面にある。実体経済の好転が、ユーロ圏の遠心力を引き起こしているポピュリスト勢力に対する支持を押し下げていくかもしれない。ECBによる金融緩和、流動性供給が功を奏している(図表15)。

こうした世界的好況に加えての潤沢な投資資金、流動性、まさしく典型的なゴルディロックス(=適温)、好リスクテイク環境である。米国やドイツ、英国株式が史上最高値圏にあるのは当然といえる。

(2) 日本株乗り遅れの原因、円高懸念は行き過ぎ

そうした中で日本株だけは、日経平均株価がここ3か月間19,000~19,500円のレンジでもみ合い、と停滞している。その理由は、トランプ政権が再び日米摩擦を引き起こすのではないか、それによって不当な円高圧力がかかってくるのではないかという不安であろう(図表16,17)。しかし、ファンダメンタルズを見ても、米国景気は世界で最も良好で、中央銀行はすでに3度の利上げを実施するなど、金融を引き締め途上にあるわけで、明確にドル高環境だと言える。

であれば、なぜトランプ政権はドル安を志向する必要があるのか、いくつかの仮説が考えられる。第一は、ドル安で米国の競争力を強め、貿易赤字を減らす狙いがある、という仮説であるが、それは経済学的には間違いである。貿易収支、対外収支は各国の投資と貯蓄のバランスによって決まるもので、為替では動かせない。