ファイナンシャルプランナー井戸美枝=文 瀧 健=執筆協力

老後のお金の不安 「一発解消」の妙案?


発売中の『プレジデント』最新号(4月3日号)の特集テーマは、お金。「年金を払った以上にもらえる世代vs置いてけぼり世代」「とっておきの副業」「話題の100職種の年収」など、給料や年金、貯金に関する情報が満載だ。

退職すると収入がなくなる(もしくは減る)わけですが、生活するためのお金は毎月出ていきます。貯蓄や年金だけでやっていけるのだろうか……。そういった不安は、皆さんお持ちだと思います。老後までに「3000万円用意しよう」といった特集や記事がメディアでよく取り上げられていますよね。

ただ、こういったお話のほとんどは「老後は一切働かない」という前提に立っています。実は、老後のお金にまつわる不安は、仕事をすることで解消されることが多いのです。

▼稼ぐのは月5万~8万円程度 、バリバリ働く必要はない

定年後も仕事をしなくてはならないのか……と落ち込む方もいらっしゃるかもしれません。しかし、人によっては現役時代のようにバリバリ働く必要はありません(もちろん働きたい方は働くと良いのですが)。65歳からは年金を受け取れますので、そこから毎月の赤字分を補填できるだけの分を稼げれば良いからです。


蓄えが乏しくても案外、老後は大丈夫。とはいえ、あればあるほど安心なのがお金。筆者・井戸さんの最新著『ズボラな人のための確定拠出年金入門』(プレジデント社)では、老後資金作りにうってつけと話題のiDeCo(イデコ)のおトクな点や始め方などを伝授している。

年金の受給額でよく例に挙げられる「平均的な男性の賃金で40年間厚生年金に加入した夫と40年間専業主婦の妻」という設定ですと、受け取る公的年金の額は夫婦合わせて月22万〜23万円です。

仮に、年金以外に収入がなく生活費に毎月30万円かかる夫婦であれば、月に7万~8万円の赤字が出ていることになります。視点を変えると、月に7万~8万円の収入があれば家計の赤字はなくなるのです(*平成27年の「家計調査報告」によれば、高齢夫婦無職世帯の1カ月の支出は約28万円。この数字を元にすると赤字は月5万~6万円という計算に)。

「生活費の不足分のみ働く」と、割り切る

定年後の転職や再就職はなかなか想像がつかないと思いますが、1カ月に最大8万円稼げる仕事で充分。そう考えれば、ぐっとハードルが下がりませんか?(そして、現役時代になんとしてでも数千万貯めなければいけないというプレッシャーから少し解放されます)。

自分たちの生活を維持するための仕事ですので、何も嫌な仕事を選ぶ必要はありません。現役時代よりも、金額も働き方もより自由に自分本位でやりたい仕事を選べば良いのです。

シニア層の働き方は主に、次のような選択肢が考えられます。

・定年後も継続雇用(正社員)で働く
・定年後に一時退職し契約社員(再雇用)になる
・再就職(転職)する
・派遣・パート・嘱託・アルバイトをする(人材派遣会社・ハローワークなどを活用)
・独立起業(自営)する
・シルバー人材センターで働く……。

収入レベルはケース・バイ・ケースですが、ちなみに公益法人全国シルバー人材センター事業協会のサイト(http://www.zsjc.or.jp/index)によれば、「一定した収入保障はありませんが、全国平均で月8~10日就業した場合、月額3万~5万円程度になります」とのことです。


【「シルバー人材センター入会のしおり」(http://www.zsjc.or.jp/img/index/pamphlet_3.pdf)より】

同協会に登録している会員がどんな仕事をしているかといえば(平成26年度の場合72 万人の会員が 3050 億円分の仕事をした)、「シルバー農園作業・屋内外清掃など」「施設管理・空き家管理など」「家事援助および子育て支援サービスなど」「販売員・店番・集金など」となっています。