BEAMSはそれほど高価なブランドではないが、ユニクロよりは当然高い。下流層の若者にとっては、もはやユニクロさえも価格的に手を出せないものになりつつある。GUの隆盛は、ユニクロのデザイン面の保守化というよりは、単純にGUのほうが安いからだと僕は解釈している。

もはや4割を占める下流層にとって、特にその中核の若者にとって、BEAMSほかの従来のブランド服は別世界のモノだ。スターバックスのコーヒーでさえ高くて飲めない彼女ら彼らからすると、Tシャツに1万円はとても出せない(BEAMSはもうちょっと庶民的か)。

■中流以上しか見ない「暴力」

BEAMSとしては、自分の商品を買えない層をターゲティングしても仕方ないので、やせ細ったとは言えまだ6割存在する中流以上に向けたPR動画をつくればいいだけなので、このYouTubeにリーマンや大震災や階層社会を登場させる必要はない。おしゃれに「ブギー・バック」して最後にサチモスすればそれでいいのだ。

この鮮やかなマーケティングとターゲティングが、鮮やかすぎて、つまりは下流層を「いない存在」として潜在化させる手口がクリアすぎて、僕には「カッコ怖く」感じた。

GUにさえ行くのをためらう若者たちと時々(青少年支援の)仕事で接する僕としては、目の前に下流層の若者はしっかり呼吸をしているというのに、BEAMS動画の中では目の前にいる若者たちが見事に「隠されている」「なかったものにされている」この感じが怖い。

サチモスはかっこいいし、オザワの曲は永遠だ。だが、かっこよさと永遠は、中流以上しか見ていない。それはある意味「暴力」だと思う。★

※Yahoo!ニュースからの転載