仮想通貨の基礎技術である「ブロックチェーン」は、通貨や金融にとどまらない広範な応用範囲を持ち、社会構造に大きな影響を与えると予測されている。『ブロックチェーン・レボリューション』は、その原理、応用可能性などを、広範なインタビューに基づいて、詳細に論じている。ブロックチェーンの利用で、インターネットを通じて経済的価値を送れるようになったこと、金融機関が使おうとするプライベートブロックチェーンは、ビットコインが用いるパブリックブロックチェーンと性格が大きく異なるものであること、などが説明されている。また、ブロックチェーンで運用されるDAO(分散化自律組織)が、いかなる社会を作るかを論じている。


野口悠紀雄氏 ©文藝春秋

『デジタル・ゴールド』は、ビットコインの歩みを描く。ビットコインでピザを注文し、現実世界で使えることを実証したという挿話などが紹介される(これは実話)。ビットコインが世間の注目を集めていなかった揺籃期における理想主義者は、新しい通貨で政府やウォールストリートに戦いを挑もうとした。しかし、二〇一一年頃からビットコインの価値が社会的に認められ、投資の対象とみなされるようになってしまった。

『シェアリングエコノミー』は、シェアリングエコノミーによって働き方に根本的な変化が生じ、「従業員か独立請負人か」という区別が意味を失うと指摘する。本書でもブロックチェーンが取り上げられているが、事業を(組織ではなく)P2Pというコンピュータの集まりで運営するという点が強調されている。

『LIFE SHIFT』は、人生百年時代にはライフステージを構成し直すことが必要だと言う。ここでも、新しい働き方として、シェアリングエコノミーでフリーランサーとして働くことが紹介されている。人工知能によって働き方がどのように影響されるかについても述べている。

 ソ連は一九八〇年代に「外辺部システム」を実戦配備した。これは、全面核戦争における最終的な報復装置だ。超深度地下の「球」に身を潜めた当直士官が、地表の施設が核攻撃を受けた後に、ロケットを発射させる。それが発する指令によって、残存するすべての核ミサイルは、アメリカへの報復攻撃に向かう。五〇年代のSF『レベル・セブン』や映画「Dr. Strangelove」は空想ではなかったのだと知って、驚愕した。『死神の報復』には、この他、生物兵器研究所からの炭疽菌流出事件(の隠蔽工作)も詳しく書かれている。大韓航空機撃墜事件やチェルノブイリ原発事故なども。大著だが、最初から引きずり込まれて一気に読んでしまう。

 冷戦後作られた映画でクレムリンの内部が映されているものがいくつかあるが、あまりに豪華なので、本当かと疑っていた。『クレムリン』を読み、ここはイワン雷帝以来ロシア皇帝の宮殿であったという当然のことを思い出して、納得した。エイゼンシュテインの映画「イワン雷帝」は、窒息しそうに閉塞的な空間で展開するが、ここもクレムリンだったのだと、改めて気づかされた。彼がヘンリー八世ほど多くの妃を娶ったことを、本書で初めて知った。

 米連邦準備制度とヨーロッパ中央銀行は、金融危機からの脱出で大きな貢献を果たした。そして、いま最も重要な政策の担い手となっている。しかし、今後安定した成長を実現するための十分な手段は持っていないと、『世界経済 危険な明日』は指摘する。ウォールストリートの金融機関の内幕は、外からはよくわからない。『大統領を操るバンカーたち』は、二十世紀始めからのウォールストリートと連邦政府との密接な関係を描く。『住友銀行秘史』の著者は、戦後最大の経済事件とされる「イトマン事件」の内部告発文の作成者。大銀行内部の赤裸々な人事抗争を暴く。『バブル』は、八〇年代後半のバブルが膨張していく様を描く。グローバル化と金融自由化にその原点があるとする。